2022年3月12日人権の視点を医療・介護の仕事に生かす
県連社保学校
山梨民医連では、2021年度、山梨民医連の事業所で働く職員を対象に、社会保障について学ぶ「県連社保学校(第2期)」を実施しました。社保学校で学んだ受講生に学びの中身や意識の変化を聞きました。
声にならない声を聞く
一人の受講生は、高齢者は社会的弱者・情報弱者になりやすい人たちだと感じています。感染拡大により、デイサービスやショートステイが利用できないなど、本人が望む生活ができなくなるケースが多発。
社保学校で学んだことは、医療・介護従事者は「人権の担い手」であるということ。声をあげられない人たちの声を聞き、発信する役割が求められています。
社会保障は助け合いではない
菅前首相は「自助・公助・共助」を掲げました。「困った時には隣近所で助け合って解決しなさい」という国の方針は、時代に逆行していると感じるという受講生。
国は、医療や介護が必要な人を、病院ではなく在宅で看るよう促しています。そのためには介護サービスの充実が不可欠なのに、社会保障費は削減されている。大きな矛盾です。
「国民皆保険」なのに、保険証がなくて受診しない・受診できない人が大勢いると感じている受講生。市役所は「保険証が欲しければお金を払いなさい」と言いますが、病気で医療が必要な人には保険証を渡すことが先決。介護保険でも、保険料を払ってないからと、介護サービスを使えない人が多くいます。
「自己責任論」も広がっていますが、生きるために必要な社会保障は、「助け合い」の前に誰に対しても保障されるべきものです。
本当の意味での平和とは
「平和的生存権」という考え方を社保学校で初めて知ったという受講生も。平和とは単に戦争や暴力がない状態をいうのではなく、人権が十分に保障され、社会保障が充実していてこそ、本当の意味での「平和」です。戦争をしないと誓った憲法9条と、誰もが健康で文化的に生きる権利があると定めた25条。二つが一体になってはじめて積極的な「平和」なのです。
コロナ禍で、これまでみえなかった社会の矛盾や脆弱性が、目に見える形で出現しました。社保学校で学んだ人権の視点を医療・介護の仕事に生かそうと、決意を新たにしています。