山梨民医連「訪問介護事業所緊急調査」調査結果を発表 | 山梨民医連

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2024年7月25日山梨民医連「訪問介護事業所緊急調査」調査結果を発表

会見参加者 左から山梨勤労者医療協会 介護福祉事業部 権田布美江部長、山梨県民主医療機関連合会 平田理会長、やまなし勤労者福祉会 清水季世子専務、ヘルパーステーションほほえみ 山田真希所長、 居宅介護支援事業所やすらぎ 松野晃代所長

 

山梨民医連は7月1日に記者会見し、2024年の介護報酬改定で訪問介護事業所の基本報酬が引き下げられたことを受けて行った山梨県内の訪問介護事業所を対象にした緊急アンケート調査結果について発表し、訪問介護報酬引き下げの撤回を求めました。

 

 

報酬改定に対して「納得できない」96.6%

やまなし勤労者福祉会の清水専務から調査結果の報告を行いました。調査は4~5月に県内174の訪問介護事業所を対象に行ったもので、89の事業所(回答率51.1%)が回答しました。

調査結果では、今回の報酬改定に対して「納得できない」96.6%(86件)、「わからない」が3.4%(3件)でした。

 

 

8割が経営危機、うち事業継続困難が約3割

経営状況については「やや厳しい」が41件、「厳しい」が38件、合わせて79件、90.8%が経営難を抱えています。また、今回の報酬改定の影響で「経営が悪化する」が52.8%(47件)、「事業継続が困難」が30.3%(27件)、合わせて83.1%の事業所が経営危機と言える状況でした。「基本報酬を下げるのは、訪問介護を軽んじているとしか考えられない」「今回の改定によって被害を被るのは小規模な事業者で、そのつけは在宅の高齢者となる。しっかりと現実を調査し確認してほしい」等々切実な声が寄せられました。

 

 

80.5%の事業所が人材が充足していない

また、人材に係る質問では8割の事業所が「充足していない」と回答しました。「ヘルパーの高齢化で身体介護や夜朝等の稼働が難しくなっている。この報酬額では短時間(の勤務を希望する方)しか採用できず、(利用者の)ニーズに応えていくシフトを組むことが難しい」等の経営難に加えて人材難の実態が訴えられています。

 

 

訪問介護の現場から

ヘルパーステーションほほえみの山田真希所長から、訪問介護は病気や障害を抱えている方々が地域で安心して過ごせるための「要」のサービスであること、その方々の生活の場から、状況の変化や本当の想いを引き出すための関わりを行っていることなど現場で感じていることが報告されました。

また、居宅介護支援事業所やすらぎの松野晃代所長から、県内でも事業所数やヘルパー職員の数により地域差が広がっている状況などを報告しました。

 

 

訪問介護報酬引き下げの撤回を求めます 

訪問介護は地域で暮らす多くの人が「住み慣れた地域で高齢になっても安心して暮らし続ける」ためになくてはならない事業です。現場からは「コロナ禍、物価高騰、人手不足の中で崖っぷちで何とか踏ん張ってきた事業所を崖から突き落とした」「これは在宅介護の終わりの始まり」との強い危機感も表明されています。

私たちは、山梨県内の訪問介護事業所の悲痛な叫び、一人ひとりの暮らしに寄り添い、命を支えてきた訪問介護事業所の皆さんの願い、そして、要介護になっても、住み慣れた我が家で人生を生き切りたいと願う利用者さんの声に応えるためにも今回の改定をただちに見直すよう要望します。

平田会長はまとめで、国はベッドを減らし病院・施設から在宅へという流れをつくろうとしながら、在宅介護をつぶすことは大きな矛盾で、「緊急に再改定を」と訴えました。

会見の様子はUTYニュース、山梨日日新聞でも報道されました。

 

訪問介護事業所緊急調査結果報告

記者会見発言原稿(ヘルパーステーションほほえみ)

記者会見発言原稿(居宅介護支援事業所やすらぎ)

訪問介護事業所調査結果(最終報告)

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